
profile |
|
一級建築士事務所 有限会社伊藤寛アトリエ 所在地:神奈川県川崎市多摩区生田8-29-13
空間の質というのは、私達の日々の暮らしに大きな影響を及ぼします。そうした空間の質を左右する仕事に携れるのは楽しいことです。特に住宅は、美術館や音楽ホールのような非日常的な刺激を受けるものと違って、毎日繰り返される何でもない日常のための器です。そうした部分に目を向け、発見していくことが重要だと考えています。毎日の気持ちをフレッシュにするために、建築のデザインは役に立てると信じています。
「安全で快適な建築」をつくること。それに正面から応えていきたいと思います。デザインの上からも、材料の選定の上からもウソのないものであることが必要です。私は杉や桧やさわらといった比較的柔らかな木を使います。また、土壁や漆喰などの左官で仕上げることが多いです。空気を多く含んだそれら柔らかい材料は、調湿性に富み、室内の空気を快適にしてくれます。気密性が高まった今日の建築では、材料から人体に有害な物質を出さないものであることは極めて重要です。また、年数が経過したとき、木や土や漆喰の表情は美しく変化していきます。建築を暮らしの中で竣工時より美しいものにしていくために、こうした材料は無限の力を貸してくれます。
私は近年出現してきた新しいものでは無く、何百年と繰り返されてきた材料や工法を使いたいと思っています。それは、長い実績があり今後何百年先にも確実に存在しているであろう木や土や石や石灰の二次製品である漆喰などです。私たちのごく身近にある容易に調達し加工出来るそうした決して特殊ではない物を使って、美しい建築をつくる事。それは私の1つのチャレンジです。木や土や石は材ごとに癖やばらつきがあり、表情も多様で、色も複雑で深い。そうした物を使うおもしろさは、もともと人間の都合のために生まれてきたものではない物の力を建築家の素型に付加する事に他ならないと思います。また、それらの扱いを熟知している職人の技術や鍛え抜かれた目がどうしても必要になります。過去をつなぎ、人をつなぎ、人と自然をつなぐこと。これは地球との付き合い方を改めて確認していきたいという、ささやかな実験でもあります。そうしてできる建築の表現はきっと、建築家の夢想する純粋な美学にもう1つ別の広がりを与えてくれます。 |
| |||
|
伊藤寛プロフィール
コンペ・賞歴
|